name="VESTIMENTA"
著者は私、五来正樹/東京造形大学卒業生です。卒業後から再編を重ねたものです。
また将来に影響を与えるアイデアであると考え記録しました。
社会やクリエイターの参考になれば幸いです。
社会適応を促進する車椅子Vestimenta。意味は服、バリエーションの豊富さを込めました。
国や民族に各々「素材・編み方・着方」が存在し、様々な車椅子がうまれる。
今回の卒業制作では、
その素体となる車椅子を提案しました。
このアイデアは2018以前の工業的な一律的な様子を一変させると思います。
概要
"フレームを薄くする。身体に絡める"
step1・課題設定(体験談から考察する)
step2・調査と考察(ニーズ調査、車椅子を考察)
step3・試作品(スケッチとモデル)
step4・卒業制作(身近なユーザ「相談と体験談」)
step5・今後の課題
『まだ考慮されていない』
生活に制限がある。
服として、
車椅子を着たら健常者に見える。
障害を小さく、
大きなチャレンジへ。
step1・課題設定
【VESTIMENTA】
『解決策を持たない中途車椅子の利用者は困るのではないか。』
車椅子の利用者同士で通じる知恵や経験則などがあり、うまれつきの場合は共有される場合が多い。
中途の場合は、共有されない中で利用者になり共有されていない場合が多い。
知恵や経験則で解決できない彼らのニーズを課題設定しました。
また人通りの多い駅(町田駅)で車椅子の利用者を観測しました。全国200万人の利用者がいるのに対して、駅を利用できてない人が全体人数に対して利用者が少なかったです。
◯デザイン
ターゲットを中途車いす利用者
『Vestimenta
読み ベスティメンタ
意味 被服・身体に着用するもの』
洋服的な要素が特徴的です。工業的な要素のパイプ素材からテキスタイル素材と曲面の芯材の組み合わせに置き換えました。
さまざまなテキスタイルデザインの派生が生まれることを期待し、言語母体の象徴ラテン語から命名しました。
コンセプトを考察
○私自身の体験談
私は補聴器利用者です。幼少時に利用者同士で騒音対策が整った施設を利用し過ごしやすさを体験しました。
車椅子利用者にも同じような体験をする方がいました。
そういった施設があるという情報は、障害者同士が連絡を取り合い地道に共有されていく情報です。
そこで構造的デザインから、知恵や経験則などの情報をもたない中途の車椅子利用者がノンストレスで過ごすためのアイデアを考えることにしました。
〇人通りの多い駅(町田駅)について
・車椅子の利用者の観測
『通学時間帯
毎日1人、時々2-3人
また、他の時間帯も少ない』
・利用者の人数のデータ
『2019年
【1日平均駅別乗降人員、駅別乗車人員(ベスト100)、横浜線全駅乗車人員】
小田急線:新宿駅に次いで2番手に多い。
東海道線:横浜線内ではほかに追随を許さず連続1位。東日本では30番手に多い。』
・利用しない理由
『駅を非バリアフリーな要素で利用できない、サークル活動やライフスタイルにあわせて敢えて利用しない、別の移動手段、自宅勤務など移動しないなど考えられる。』
『需要のある駅ですらこれしか見かけなくて、地方の駅ではどんな状況なのか気になります。』
step2・調査と考察
調査を踏まえ車椅子を考察
□見直しとデザインすべき部分は
逆算的な思考であるが、手動車椅子は最も機能が少ないので、電動車椅子のような複雑で複合的な機能が使いやすくなったなら、さらに使いやすくなっていてもいいはずだ。部分的ではなく総合的に、使いやすい工夫が取り込める。
そして、足が使えなくても上半身は健康な場合もある、柔軟な思考が不可欠だ。
車椅子には、身体を支えるだけでなく、動きを補助する機能も必要だ。
○車椅子に求める機能
『体重を支える機能と体幹を支える機能』が混在。→明確な離別
○先行事例の共通事項
『足が使えなくても、移動できる』それぞれの事例の違いを出すなら、付け加えられた要素。→移動に限らずに、より身体の可動性を見出す。
○先行事例の有効的な構造
オーダーメイド車椅子→背もたれが腰に接する高さ
WHILL電動車椅子→電気回路とフレームを統合した設計
背中の軸を安定させるシーティング技術。
○背もたれの変化
障害の重さに合わせてそれぞれ特徴を持つ車椅子に変化している。また、総合的に設計することで背もたれなどより使いやすさを生み出す。
それを調査をしている際に、車椅子利用者は車椅子を「いつも」着けている共通点を発見した。それがどんな現象を引き起こすのかを意識したスケッチ・モデリングによる研究を行った。そして、コンセプトを「下半身に機能障害を持つ壮年の人が、上から服を着れる『インナーシャツのような使い方』をする車いすに乗ると、福祉機器利用者になるという壁を感じさせずに社会生活ができる。」に設定した。
車椅子が必要な人について調査
□生活スタイル
「壁がある」「バリアフリーにしたい」私がそう話す中間報告が多かったが、調査のなかで「問題なく生活を送っている」ことがわかりました。利用者の方々は彼らなりに生きやすい環境を見つけている、ということです。
□「機能を増やす」は求められていない
問題点は各々で問題解決をしている。スーパーやコンビニを利用するとき車椅子や電動車椅子に乗ったまま、服は既製品でなくオーダーメイド。
車椅子体験が小学校や中学校にあります。皆さんの中にも体験したことがある人もいると思いますが、よく生活できるな〜と感心していた人もいましたね
実のところ、快適に暮らすための知恵や方法があるんです。
調べるといろいろ・・・。
調査方法はツイッターやインスタグラムにて車椅子利用者と障害のない識者も広く調査しました。識者とは車椅子の知識を広める活動を行なう車椅子アイドル/活動家/デザイナーなどです。
健常者が距離や壁があると感じたり感心したり、下半身を使えるから。彼らはバリアフリーだけでなく、それぞれに適した場所があり、そこまでの往復・そこで過ごす・・などのしやすさが求められている。
そういったノンストレスで過ごす方法を知る必要性を感じました。
□商品開発の先行事例
オーダーメイド洋服、、ウェディングドレス、比較用JIS規格、電動車いす左、機能特化型
左下3dプリント出力した車椅子
右下3dデータを活用したシーティング
step3・試作品
スケッチの種類
□着る車椅子
洋服と同じ外見でよりナチュラルなタイプ
□身体のラインに沿う車椅子
風船のような構造をイメージ
□履く車椅子
大腿骨や骨盤までを支え直立するタイプ
□義足
上半身を支える方法とイメージを膨らませるスケッチ。
□言葉の整理
整理整頓。
試作品の種類
◯背座面一体型
板で支えフレームをなくす試み
◯針金
柔軟性のない素材を組み柔軟性を出す試み
◯プラ板
接続関節部分に柔軟性を出す試み
◯ティッシュ紙案
フレームをふちだけにする試み
◯傘型フレーム案
高さ横幅を調整できる仕組みの試み
step4・作品制作
制作前の身近な利用者の「相談と体験談」
取材相手)タイガースのファンおじさん工業系の専門学校に通っていた友人
○実際に車椅子を使った人に相談。
・インナーシャツのような使い方で体重を支える難題を、調査研究で車椅子の機能には体重を支える機能と体幹を支える機能の混在に着眼し2つの機能を分離させる仕組みの考案すること。
・卒業展示では使用し実際にコンセプトを体感できる作品を制作すること。
・先行事例を見て感じること。
○実際に車椅子を使った体験談。
ーおじさん。
毎試合タイガースの応援に行く人なんです。それで背中に好きな選手の名前と番号を入れてもらって楽しくなったというお話。
ー専門学校の友人。
彼の通っていたのは、造形大学の工房にあるバンドソーのような機器が多く置いてある専門学校です。けがをして車椅子を使わなくちゃいけなくなったんですが、人の目が気になって松葉づえをつかうようになったそうです。
制作手順
_01参考
3Dプリントされた車椅子や臀部を3Dスキャンして制作された座面のシート
機能特化型
_02準備
ステンレス、アルミ、3mm5mm
布素材、ヒートテック
ハドメ
_03制作
熱伝導率性が高く体の形状に変形しやすいアルミ板とヒートテックをを用いてモデルの制作を行った
_04利用時
このVESTIMENTAは、丸パイプのフレームを薄い布のフレームに変えたことで、洋服のような多様な発展の余地と可能性を示した。
他の車椅子へ与える影響は
フレームの役割を大きく変えた。それはVestimentaは車椅子に新しい機能を付加しないことで明確に見えた。車椅子の多様性に、幅広いデザイナーによるデザイン提案を生かせる。例えば、プリンティングや折り目加工やbaobaoisブランドISSEYMIYAKEのデザインのようなもの。
テキスタイル系業界
模様のプリント、折り目の加工、幅の太さ細さ、生地の素材など
ロボット系業界
異素材間の接続、柔軟性の出し方
イメージしたファッション要素の具体例(上部写真2枚と下部スケッチ2枚)
step5・今後の課題
車椅子にはユーザーを社会に適応できなくする問題を数多く抱えていることを1年間の調査と半年のコンセプトモデル考察し、普段生活している中から車椅子や福祉機器の研究が様々な面から行われている際に発見した。また、取材した体験談からは実際に使わなければ車椅子について知ることができるのは見える一面に過ぎないことに気づかされた。
frame1≫JIS規格仕様
○カスタマイズを障害の重さに合わせた様々な機能がこれにカスタマイズされる。
○コンパクトなオーダーメイド車椅子は両膝を挟みこみ固定させるものが多いが、このフレームの曲げる角度の調整によって様々な車椅子が登場している。と考えた。
frame2≫VESTIMENTA仕様
○これが示す可能性は『服』のように多様性のある発展させることができる。
○良くなる点はフレームが薄い素材になっており、身体に巻き付けるような着用が可能でよりコンパクトになる。
調整ができる要素(模様のプリント、折り目の加工、幅の太さ細さ、生地の素材、)が多い。
座面と下部(タイヤとの接続など)の考案
HP掲載日 2020/03/12
オレンジ色の部分は肩甲骨助骨面や鯛の鯛と呼ばれる骨のような薄い膜のようなもの。
特徴的な点は、バッグを持つ際車輪に当たらない、後ろから体が見える点。それは周囲の人から本人へ干渉する壁を低くする。日常的な場面では後ろから肩をたたくなどの行動が例に挙げられる。
本人は車椅子に座ってから上着を着るようになり、より広くから服を選ぶことができる。周囲との違いを埋めることができる。
ほかに、二輪は自律バランス制御機能の研究進展により実現する。
車椅子バスケ選手のような傾斜の付いた車輪は、消耗が激しい車軸への負担が大きいことが問題点。解決には回転をかける動力、動力を伝える仕組み、回転する仕組み、複数のキャタピラやタイヤを複合するなど再開発が必要。